SFTS(重症熱性血小板減少症候群)マダニからだけでなく猫犬から人へも感染する

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SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは...ヒトでは

始まりと伝播

2009年頃より中国で、食欲不振、倦怠感、胃腸症状(腹痛、悪心、嘔吐、下痢)、リンパ節腫脹などの症状を伴う疾病の発生が報告されたのが初めです。その後、原因ウイルスとして「ブニヤウイルス科フレボウイルス属」のウイルスが分離され、発熱や血小板の減少などの症状を伴うことからSFTS(Severe fever with thrombocytopenia syndrome)ウイルスと命名されました2011年中国)。

2011年には、韓国においても発症が確認され、日本では2012年に発症した海外渡航歴のない症例が初めての報告です(東京感染情報センター)。

そして、2023年1月31日時点では、日本におけるSFTS発症患者数は805人報告されています(国立感染研究/厚生労働省)。

症状

SFTSは、5~14日間の潜伏期の後、以下のような症状が出ます。

発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)、ときに、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴います。

血液所見では、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清肝酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められます。

致死率は10~30%程度と、かなり高く怖い感染症です。

また、治療法はなく、今のところ対症療法しかありません。

感染経路

当初、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることによりヒトに感染する経路だけだと考えられていましたが、

感染患者の血液や体液との接触感染、

また、SFTSウイルスに感染したネコからの感染事例も報告され(2019年)、

マダニに咬まれるすべての哺乳動物が感染する可能性があるため、

近年、注意喚起がされています。

NIID 国立感染症研究所:動物におけるSFTSV感染の疫学調査

SFTS ネコ・イヌでは

感染状況(日本)

2017年に和歌山県で初めて、ネコのSFTS発症が確認されました。

その後、2019年には、ネコ120頭、犬7頭、チーター2頭の発症が確認されています。(日本医療研究開発機構(AMED)研究事業「愛玩動物由来人獣共通感染症に対する検査及び情報共有体制の構築」による調査2019年7月)

SFTS 感染ネコの症状と致死率

症状は人とほぼ同じで、元気・食欲喪失、黄疸、発熱、嘔吐、などがあげられますが、下痢は少ないようです。

また、黄疸や肝酵素の上昇や白血球・血小板の減少がみられます。

表:NIID 国立感染研究所 2019年7月26日 IASRより

致死率は約60%と言われ、非常に高くなっています。

SFTS 感染イヌの症状と致死率

イヌでは、元気・食欲の低下、発熱、白血球減少、血小板減少、肝酵素の上昇、消化器症状、黄疸、といった症状が観察され、ヒトとほぼ同じと考えられています。

致死率は29%で、感染数もネコより少ないことから、

ネコよりは抵抗性があり、不顕性感染も多いと考えられます。

SFTS発症動物からヒトへの感染、ヒトからヒトへの感染

当初マダニからの感染経路のみが言われていたので、マダニの駆除、予防に注目されがちですが、

発症ネコの唾液・糞便・尿中からウイルスが排泄されていることが分かり, これらの体液にも注意が必要だと、現在では変わってきています。

2022年7月31日時点で, 発症動物から飼い主及び獣医師や動物病院スタッフへの感染が10例確認されています。

また、発症動物から飼い主への直接感染も報道されていますし、

中国や韓国では、患者から医師や家族が感染するヒト→ヒト感染が、確認されています。

まとめ

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、ダニに咬まれて感染する、致死率の高い感染症です。

ヒトだけではなく、ネコやイヌなどにも感染することが分かってきました。

特にネコは感受性が高く致死率も高いです。

そして、感染動物からヒトへの感染も確認され、

特に獣医療従事者や、ネコ・イヌの飼い主の感染リスクが言われています。

動物病院の方々は、日常的に感染症に対する対策をとっていますが、SFTSに感染発症しています。

注意しているにも関わらず、感染してしまった、ということです。

ダニの予防やペットとの濃厚接触を避けることは言うまでもありませんが、

飼いネコ・イヌが発症した場合の具体的な対応方法(飼い主や獣医療従事者にうつらないような)、

そして、発症動物の治療方法、迅速な診断方法、 効果的な予防手段の開発が待たれます。

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