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フィラリアは、犬の病気だと思っていませんか？

フィラリアは「犬糸状虫」と呼ばれるように、本来犬の心臓に寄生する虫です。

猫は本来の宿主ではないので、寄生することは少ないのですが、感染犬に対して10~20%の割合で猫も感染していると言われています。

猫のフィラリアに関しては、まだ完全な疫学調査がなされていないので、ご存じない飼い主さんもいらっしゃいます。猫のフィラリア症に関する意識調査

フィラリアは、犬をはじめ多くの種類の哺乳動物に寄生する線虫です。

ヒトを固有宿主とするバンクロフト糸状虫、ヒト・サル・ネコを終宿主とするマレー糸状虫がありましたが、

現在、日本では共に根絶され、新しい感染の報告はありません。

では、今は、多くの犬が予防しているフィラリアは何でしょう？

これは、ディロフィラリア糸状虫という、主に犬を終宿主とする線虫です。

ディロフィラリア（以下、「フィラリア」とはこれのことを言います）は、

みなさんご存じのように、「蚊」を中間宿主とし、犬の肺動脈や心臓に寄生します。

心臓に寄生するのですから、危険な症状がでることは、十分想像できますね。

フィラリアに感染している犬の血液には、フィラリアの幼虫（ミクロフィラリア）がたくさん含まれており、これを吸った蚊が、他の犬を吸血する際にフィラリア幼虫をうつします。

蚊が猫を刺した場合にも、同じようにフィラリア幼虫をうつすのですが、本来の宿主ではないので、大半は成虫になることができずに死んでしまいます。

しかし、少数は肺や心臓、血管へ移動し、未成熟のまま死亡してしまいます。

この時、幼虫の死骸に対する免疫反応や、死骸自体が肺に炎症を起こし、咳き込んだり呼吸が苦しくなるなどの症状が出ます。

また、本来の宿主ではないので、成熟することは少ないのですが、時に生き残った幼虫が成熟し、心臓や肺の血管に寄生することがあります。

犬に寄生したフィラリアの寿命は、5~6年と言われています。

一方、猫の体はフィラリアにとって住み心地が悪いようで、2~3年で死亡してしまいます。

フィラリアの成虫が死亡すると、どうなるでしょう？　死骸が血液の流れに乗って、心臓から肺動脈に移動し、肺に炎症を起こします。

その結果、咳や息切れ、体重減少、食欲不振、嘔吐、貧血などの猫にとって非常につらい症状が現れますし、

フィラリアが血管を塞いでしまった場合、突然死することもあります。

また回復したとしても、肺の症状は残り、ずっと治療を続けなければなりません。

このように、犬より罹患率は少ないけれど、感染すると重篤な症状が出て、死亡してしまうことも稀ではない、恐ろしい病気です。

ちなみに、ごくわずかですが、人への感染も報告されています（肺動脈に栓塞し、肉芽腫を形成するため、肺癌と診断されることもあるとか）。

お腹に寄生する回虫や条虫は、駆虫することができます。

寄生虫を殺す薬を与えれば、死んだ虫は便とともに排泄されます。

しかし、血管や心臓に寄生するフィラリアの場合、

フィラリアを殺すと、これが血管に詰まって、命にかかわる状態になってしまいます。従って、

日本では、猫用のフィラリア予防の飲み薬はありません。背中の皮膚に垂らすタイプ（スポットオン）が、何種類かあるので、ご紹介します.

商品名	有効成分	フィラリア	ノミ	耳ダニ	マダニ	猫回虫	猫鉤虫	瓜実条虫	猫条虫	多包条虫（エキノコックス）
レボリューション	セラメクチン	〇	〇	〇	✖	〇	✖	✖	✖	✖
レボリューションプラス	セラメクチン、サロラネル	〇	〇	〇	〇	〇	〇	✖	✖	✖
アドボケート	モキシデクチン、イミダクロプリド	〇	〇	〇	✖	〇	〇	✖	✖	✖
ブロードライン	フィプロニル、(s)-メトプレン、プラジクアンテル、エプリノメクチン	〇	〇	✖	〇	〇	〇	〇	〇	〇